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ティポグラフィカ
Tipographica
Floating Opera

フローティング・オペラ





sistema recorad SICD-1
\3,150. (tax in)

Tipographica / Floating Opera

1. フローティング・オペラ__oto.gif.au (429KB)
2. 時代劇としての高速道路__oto.gif.au (410KB)
3. ['95.9.23]__
4. スクールバス__oto.gif.au (410KB)
5. クローム襲撃__oto.gif.au (410KB)
6. ['95.12.1]__
7. ティポグラフィカの王将__oto.gif.au (312KB)
8. ['93.12.30]__
9. 重力の虹__oto.gif.au (488KB)
10. ['94.4.11]__
11. 時代劇としての高速道路 vers.2__oto.gif.au (371KB)
12. 子供の宗教__oto.gif.au (371KB)


Players

Tsuneo Imahori (Guit. Samples)
Akira Sotoyama (Dr)
Hiroaki Mizutani (Bass. Computer assist)
Akira Minakami (Key)
Naruyoshi Kikuchi (Sax)
Osamu Matsumoto (trb)
Gen Ogimi (perc.)

我々の使用しているスコア-----それ等は総てリーダーでありギタリストである今堀恒雄の手によるものである---- は未だに出版も公開もされていないが、貴方の国籍、年令、性別、あらゆる文化的バックボーンにかかわらず我々の演奏の90%までがスコアに忠実である事、さらにスコアの90%が変拍子を用いず、4/4(または3/4)拍子で表記されているという2点については俄かに信じてもらえないかも知れない。事実、少なくとも日本国内においてこの事実を発言しようものなら、それがステージ上からのMCであれ、インタビュー中のコメントであれ反応の100%は「私はジョークを理解します」という表情での苦笑であり、結成11年目にして流石にそれには慣れたものの、我々はそういったジョークは好まない。我々がジョークにしたいものはむしろ世界中の音楽は近代主義という、父親の長い不倫がバレた事によって閉塞せざるを得ないという状況(無論、我々もその中にいる)であり、アフリカ音楽の構造がまだまだ 100,000 もの可能性をもって我々の前に投げだされているにもかかわらず、現代の巡礼者の如きミュージシャン達があらゆる航空会社の利用によってアフリカ大陸まで辿り着くとさっそく「現地のミュージシャンに自曲のフリースペースを与え、共演CDを吹き込むとそれで満足してしまう」というあまりにストイックな現象についてである。今堀が1989年にアフリカから持ち帰ったものはセッションの欲望や民族衣裳等ではない。彼が持ち帰った物は、彼のスコアが4/4拍子で表記されなければならないという、ちょっとした、しかし重要な翻訳能力についてである。音楽を言語に例えるアナロジーの危険さは知っての上で。
我々の音楽の印象から、フランクザッパやウェザーリポート、セリー期のストラビンスキー等からの影響を見い出すより早く、我々が今堀恒雄という教祖を持ち、スコアという教典を持ち、月30時間ほどのリハーサルという修業を課せられた一種のカルトとして見なす人々は少なく、97年現在のネオ(トージョー)ナチス勢力等の存在しない日本では、カルトと言えば「オウム真理教」という事になり、苦笑する事もしばしである。我々は明らかにカルトであるが、それはフランクザッパのそれの如く、サン・ラのそれの如くカルトであって宗教カルトなどとは志が違う。我々が崇める神があるとすればそれは姿を持たぬグルーヴの神であり、我々の求めるものは利権や政治力、又戦争でも平和でもない。
我々がグルーヴの神と共に貴方と共有したいと望む物は、時間を揺らがせるのではなく物語(ノヴェル)を揺らがせる事(ダンスミュージックの如き安定した4/4拍子の上で総ての物語が起こってゆく)。それに必要な新しい言語とストーリー(音楽はエスペラントの失敗の遥か以前からの世界言語である。大体ツーリスト英語程度の様に)。そして何より、共にグルーヴする快感。と言う太古からの(そして常に新しい)喜びの真理である。グルーヴは一瞬の言いよどみ、どもり、訛り、判断の錯乱、決定できない心情、目まぐるしく変化する人格、個人が個人であるが故に絶対に逃れる事の出来ない精神の肉体の奇形性を総て美に変え、ツーリスト英語としての音楽が処理しきれずに「エキゾチズム」や「グロテスク」という引き出しに仕方なく突っ込んでいたあらゆる物達を次々に解放しては祝福を与える。我々はスクールバスから無限電車に乗り継ぎ、管制塔から「故障せよ」という指示を受けながら時代劇としての高速道路を行き、地を這い、空を駆け、他の神がこれでは踊れないと嘆こうとも、貴方と共にグルーヴする喜びの為に世界の果てまで進むであろう。
菊地成孔



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