GLEE CLUB
学生指揮者


0.目次
  1. 理想的な学生指揮者像
  2. 学生指揮者として身に付けねばならないこと
  3. 学生指揮者の行うべきこと
  4. 練習の指導方法
  5. 各パートについて
  6. 理想的な合唱


  1. 理想的な学生指揮者像

    1. 団員の指導をして団全体のレヴェルを向上させられるだけの技術と知識と指導力を持つ。
    2. 当人が演奏者としても相当の実力がある。
    3. 技術陣の最高責任者としての自覚と視点を持つ。
    4. 自分なりの音楽観が在る。


  2. 学生指揮者として身に付けねばならないこと

     まず、優れた技術と豊富な知識。これは指導者としてのものは当然だが、演奏者としてのものも含む。演奏する為の知識は、特に卓越したものが要求される。自分でよく解っていないものは、他人に解りやすく詳しく教えることは出来ない。また、経験者は技術や知識のない指導者に反発することが多い。
     次に、合唱を愛する心と厳しさ。義務感だけで指導しないように。気概のないものに団員はついてこない。緊張感のある練習を心がけること。

     リズム感。譜面にあるテンポ表記により、一定の速さで振続けられること。速さが変わる時に正確に変化すること。それが演奏の度に変わらないこと。
     これを身に付ける為には、様々な速さの曲に合わせてリズムを取ってみるのがよいと思う。同時に、その曲の速さをメトロノームで測って把握しておくこと。最終的には、特定の速さ(例えば時計に合わせて四分音符=60とか)が何時でも振れるようになりたい。

     自分なりの音楽性を持つこと。曲を演奏する場合、譜面通りでは実につまらない。演奏会で上演される曲はどれも、指揮者なりの工夫が加えられている。これこそが学生指揮者の醍醐味である。
     これを身に付けるには、まずは色々な演奏を聞いてみる他はない。例えば、よく上演される多田武彦の有名曲の譜面をどれか完璧に頭に入れて演奏会を聴き廻り、合唱団ごとの味付けの差異を較べてみるのもいいかも知れない。演奏会を廻り、良い演奏を聴き、良い指揮を見ることは、大切な勉強だ。曲に関する知識を増やす良い機会でもある。
     何か楽器を一つ身に付けるのも良いだろう。

     表現力を付けること。団員に対して、演奏曲の詩の世界を掴ませる為にも、自分の音楽性・音楽観を描写する為にも、的確且つ多彩な言葉遣いが必要になる。

     指揮について。
     『指揮法』は割愛する。注意すべき点だけ書く。
     解りやすいことが第一。そしてそれを毎回変えずに同じタイミングで行うこと。無駄なことはしないことも大切。
     入りは見やすく確実にやること。見やすさの点で言えば、振る高さも大切。あまり低いと後列の人が見づらい。変拍子の曲は慣れが大切。振りづらければ分割して振る。
     立ち居振る舞いにも注意すること。演奏会においては、指揮は勿論、礼や入退場も客にしっかり見られている。堂々とした態度で行うこと。

     ピアノ。自分が正確に音が取れなければ、指導はピアノを弾いて行うことが多いだろう。また、曲の練習し始めには、指揮者自身や演奏者が曲全体の構成や個々のハーモニーを捉えておかなくてはならないが、手本となるCDや演奏テープがなければ、やはりピアノを弾かねばなるまい。毎日の発声練習やカデンツにも欠かせない。
     ピアノに関しては、ひたすら練習あるのみ。演奏する曲を引き続けることで一石二鳥の練習になるだろう。最初は単音(つまりは1パート)が自在に弾ければ良い。慣れればハーモニーを弾いてゆこう。

     最後に知識について。これには、指導の為の知識、音楽全般に渡る知識、合唱に関する知識、曲に関する知識、合唱団や演奏会・会場に関する知識、ピアノ等の器材に関する知識、等、全てを含む。学生指揮者は団の知恵袋たれ。
     普通に合唱団活動をしていれば、知ることは多い。先生は良き情報源だ。学生指揮者に必要だと思われることは、覚えたら忘れないように。活動時間外にも、自分から積極的に知識を吸収するよう努力すること。


  3. 学生指揮者の行うべきこと

     毎回の練習において。

     毎回の練習場所を確保し全員に伝えること。
     団員の出欠席をきちんとCHECKすること。勿論休ませないことが大切。合唱は一定人数がいなければ始まらない。曲の習得が遅れた団員にはフォローしておくこと。仮に自分が欠席した場合、全員の進行具合を確認するように。
     時間管理もしっかりすること。指揮者本人の遅刻は以ての他。時間までに全員集合させる。延長は時と場合に応じて。
     適度な休憩も大切。指揮者の疲労度と演奏者の疲労度は別。目安は一回の練習で二・三回、十分程度。練習中はきっちり集中させる。
     時間内に終わらない場合や、定演が近く進み具合が遅い時は、普段の練習時間外の練習となる。日時他は全て学生指揮者が決めること。

     演奏会に向けて。

     まず、演奏曲を決定する。複数曲決める年もある。ここで、学生指揮者の曲に関する知識が問われる。
     演奏曲は複数あるだろうから、難度を考慮した上で練習計画を立てておく。教え始めるまでに曲を全て把握しておくこと。
     演奏会が近づいたならば、団員の気分を盛り上げるように。機会を作って、演奏会に対する個人の抱負や目標を語らせるのも良い。このくらいならば練習時間を使ってもよい。
     団員の舞台度胸・ステージ感覚を養っておくこと。舞台は広く、思いのほか周囲の団員の声が聞こえない場合もある。並ぶ間隔を開けて歌う練習や、外で歌う練習も、時には試みるのもいいかもしれない。
     学友歌の出来は万全にしておくように。合唱団の顔である。しかも、演奏会当日のこれの出来具合は、その日の演奏に大きく影響する。
     ステージでの並び順も、学友歌+ステージ分だけ作っておくこと。背の高い人は後ろ若しくは端、未経験者が前、上級生が中心、これが基本。パート内で声が分かれる場合に注意。
     当日は、学生指揮者自身も演奏者も適度に集中且つ適度にリラックスしているように心がけること。本番で指揮者は台の上に上がったら、後は振るだけである。団員を信じて頑張るように。仮に結果が好ましくなくても、団員を励ませ。団員が間違えても学生指揮者は絶対間違えないように。
     演奏会が終わったら、近い内に全員を集めて反省点を述べさせ、学生指揮者本人・団員・団ともに進歩を目指すこと。

     その他、日常的なことについて。

     学生指揮者は、対外的に団の顔の一つである。顔を売り、学生指揮者同士仲良くし、希ではあるが場合に応じて技術・知識をアピールすること。
     団員全員が楽しんで合唱できるようにすること。技術の向上に積極的になるようにすること。そうなるのが望ましいし、実際そうなれば団のレヴェルも上がりやすくなり、学生指揮者の仕事も行ないやすくなる。
     練習の合間、特に、演奏会の終わった時期に愛唱曲の練習をすること。その際、演奏会で上演する曲の練習が滞ることがあってはならない。歌える曲の数が多いというのは良いことだ。合唱を楽しめる。
     ピアノを始め、ポータ、譜面台、楽譜、メトロノーム等、器材の管理をすること。ピアノは適宜調律する。楽譜の管理は、ライブラリアンが実際は行なっているが、学生指揮者はその上に責任者として存在していることを忘れないこと。
     年度の始め、演奏会の曲の練習し始め、若しくは必要と思われる時に、パート構成を見直すこと。重要なのは、能力のある団員が分散して、パートごとの力が均等になるようにすることである。新入生のパート決定もするように。第一声よりもはるかに高い声がでるようになる新入生もいる。
     また、学生指揮者の目で見た場合に顕われる問題は、団員全員(場合によっては幹部のみ)で論議するよう積極的に提案すること。練習中にああしろこうしろと言われるのは、指揮者にとって不本意だろうし、実際問題として練習の妨げとなる。
     後輩である次の学生指揮者を指導すること。後進の指導は、これからのグリーを支える上で最も重要なことである。また、パトリも指導しておくこと。


  4. 練習の指導方法

     個人の技術

     発声。
     『発声法』については割愛する。

     音量。
     発声を習得させてから、ひたすら歌わせて喉を鍛えること。発声が出来ていない団員は、大きい声を出すときに音色が汚くなる。
     団員個々の最大音量が大きいほうが、ダイナミクスはつくように思える。しかし、合唱におけるダイナミクスは人数に比例するので、少人数の合唱団ではむきになってつける必要はない。無理に付けても、ffとppの時とで音色が変わりすぎ、全体として綺麗に聞こえない。むしろ、音量を下げたときに聞こえなくならないようにすることが重要である。

     音程。
     正確な音を出せるようになる(絶対音感を身に付ける)こと。次に、正確にハモれるようになる(相対音感を身に付ける)こと。
     最初は、ピアノで叩いた音を正確に取らせる。特定の鍵盤を一定間隔で叩き続けてその音を発声させ続ける。初心者は、長い音を出している間、自分の出している音が下がってくることが解っていない。それ以前に、ピアノの音と自分の出してる音が合っていないことが判らないものもいる。
     次はハモる練習である。これは正確なハーモニーを聞いて覚え、何人かで再現する練習を繰り返す他はない。前の練習がクリアできていれば微妙な音程の変化はつけられるようになっているはずだ。ハーモニーが再現できれば、そこで音程を固定する努力をすること。ハーモニーが再現できたかは倍音が教えてくれる。最終的には、各ハーモニー別の倍音を安定して出せるようにする。
     絶対音感と相対音感は、全くの別物である。相対音感が正確に身に付いていない者は、絶対音感を以って合唱をしようとするので、他人から正確にハモられると自分の音程を確かめようとしてハーモニーから外れたりする。

     実際の練習方法について

     まず、曲を団員に理解させること。詩を団員全員に読ませ、意味を理解させ、世界を掴ませる。次に、完成した組曲がどんな形になるかを団員に示す。これは、CDやテープを聞かせても、ピアノを弾いても、何をしてもよい。
     そして、音取りに入る。この時点では、指導はパトリに任せてもよい。もしそうするならば、学生指揮者は、パトリに対し、指導させる為の指導をしておかねばならない。全パート・全団員が等しく曲を習得するよう管理すること。
     次は、合わせである。全員で、各パート一人ずつのカルテットで、内声・外声・上下の各二声で、場合に応じて三声で、など、様々な方法で合わせてみること。不安定な部分があれば、そこで伸ばさせ、ピアノを用いて確認すればよい。
     CHECKする内容は、音の高さ・音の長さ・発音やブレスのタイミングなどが正確であるか、パート内で声がそろっているか、ハーモニーが正確且つ安定しているか、パート間で音量・音質のバランスは取れているか、歌っている言葉が歌詞の通り聞こえるか、全員が暗譜しているか、である。
     それらがきちんと出来ていて初めて、学生指揮者の解釈による味付けに入れる。その最中も、上記のCHECKを怠らないこと。
     演奏が固定したならば、ひたすら繰り返して完璧に体に覚え込ませる。

     指導の最中で、何か演奏上のミスを発見して訂正しようとした場合に、なかなか直らないこともある。あまりに直らなければ、そこは先送りにすること。ここは、練習の進度に大きく関わってくる。直らない理由としては、演奏者の技術が至らない場合がほとんどであるが、学生指揮者の指示が適切でない若しくは明確でない、と言う場合もままある。

     練習をどの程度徹底するかについて、某氏の意見を引用する。「例え部員に嫌われようと、とことんまで追及せよ。その結果生まれるであろう様々な軋轢は、部長である自分が練習時間外に何とかする。そのくらい厳しくやり団のレヴェルを上げて欲しい。また、多少の憎まれ役を学生指揮者は引き受けるべきである。」


  5. 各パートについて

     各パートの特徴について述べる。指導やパート構成の時の参考にすること。苦手なパートを無くし均一に把握するように。

     TOP
     ここは、声が高い団員が必然的に集まってくる。基本的に声の大きい人が多い。
     弱点としては、音が下がりやすく、声が枯れやすい。上からハモられると弱いことがある。独走してしまうこともままある。
     経験者が多くなるパートでもある。

     SECOND
     TOPの次に、声の高い団員が入るパートである。ハーモニー能力的には最も高度なものが要求される。
     TOPが下がる場合には、まず、SECONDが下がっていることが多いという。下からきちっと支えさせるように。

     BARITONE
     声域が中音域である為、どの団でも人数が多くなりがちである。普段はあまり技術を必要としないが、難しい曲においては、このパートが一番難しい。作曲の都合上、最もしわ寄せを食うパートである。
     ハーモニーが崩れるときは内声から、といわれている。SECONDと共に注意すること。

     BASS
     ここも、声域的に恵まれた団員が入るパートである。ただし、細かい音程が取れない団員が多い。音を正確に安定して出せるように鍛えること。
     高い音程を出す時が難しい。楽曲の構成や団員の技量を考慮して、BARITONEに手伝わせることもある。
     経験者が入る時もままある。


  6. 理想的な合唱

     タイミングにおいて全員同時であること。発音・止音・ブレス、アッチェルランド・リタルダンド、クレッシェンド・ディミヌエンド、アクセント、等など。全てにおいて同時であること。
     各パートで声が一つしか聞こえていないこと。パートで声がそろわないのはハーモニーが汚れるもと。音程、音色、音量、変化する時の曲線、子音の発音量、全てがそろうように。
     パート間のバランスが良いこと。合唱とはハーモニーを聞かせるもので、メロディーを聞かせるものではない(無論 Soloは別)。
     音楽的な味付けがよいこと。解りやすく、曲に適したよい味付けが施されていること。楽譜上のリズムより歌詞のリズムを尊重してあるのが望ましい。


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